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重ね合わとは?

[ 671] 超心理学講座・量子的観測理論
[引用サイト]  http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-6.htm

物理学と整合的なPSI理論の構築のため,超心理学者は量子論に発生する観測問題に着目した。観測問題に関係するところでPSIが起きるとして理論構築すると,現代物理学を大きく修正することなしに済ませられるからだ。
最初に本流物理学で起きている観測問題を概説する。ミクロな世界の現象を記述する量子論は,1926年シュレーディンガーの波動方程式により,形式化された。この波動方程式では,物理系が取り得る複数の状態が「重ね合わされた」状態で表現され,時間経過とともに,その状態がどう変化するかが記述されている。波動方程式は,観測が行なわれた時に(重ね合わされていた)複数の状態のうちの各状態が観測される確率を与える。
例えば,電子が発射され,経路Aと経路Bの2つの経路のいずれかを通る可能性があるとしよう。波動方程式は,2つの経路が重ね合わさった状態を記述し,経路Aを通るのが20%の確率で観測され,経路Bを通るのが80%の確率で観測されるなどと予測する。波動方程式の予測は極めて精確であり,同一の波動方程式で記述される状態を多数回観測すると,統計的な誤差の範囲で正しく20%と80%の頻度で観測される。
さて,ここで問題となるのが,その観測の直前に電子はどこにいたかである。我々の日常的な世界観によると,電子が経路Aに観測されたならば,その直前には当然ながら,経路Aを走っていたと考えるだろう。ところが,そう考えると矛盾が起きるのである。観測をしないと(あるいは観測する前は),電子はあたかも「波」のように両方の経路に広がっており,ある種の干渉現象を起こすことが,波動方程式によって導かれ,またそれは実験によっても裏づけられるのである。すなわち,観測をするまでの間,物理系は複数の取り得る状態が重なり合った奇妙な状態のままでいる,などと考えざるを得ないのである。
どうせミクロの世界の話なのだからどうでもよい,などと事は済まない。何故なら,「観測」がいつどこで起きるかが量子論からは導けないので,マクロの世界に関わる可能性があるのだ。「観測」という行為を分解すると,そこには「測定装置」があり,観測する人間がいる。電子が経路Aと経路Bのどちらを通るかを測定する装置を作り,経路Aに検出されたら針が右に振れ,経路Bに検出されたら針が左に振れるようにしよう。すると,波動方程式では,経路Aに検出されて針が右に振れる状態と,経路Bに検出されて針が左に振れる状態とが,依然として重ね合わせた状態のままであり,どちらかには決まらないのである。さらに,測定装置の針が右に振れたら近くの猫が死ぬような仕掛けをして置くと(あくまで思考実験である),猫が死んだ状態と生きている状態が重なり合うという,実に奇妙な状態を想定せねばならない(シュレーディンガーの猫)。これが観測問題である。
物理学者は奇妙な現象をミクロな世界に封じ込めるため,なんとかマクロの測定装置あたりでどちらかの状態に「決定」されるよう,量子論の拡張を試みるが,うまい理論が作れない。そうした中で,1980年代には,数メートルという十分マクロの大きさにおいても,ある種の物理系が重ね合わせ状態にあることが,実験的に確かめられた。
一方で,物理系でないものが関与する時に「観測」が起きるとすれば,量子論の整合性が保たれるとして,ウィグナーやウィーラーは,観測者の「意識」が物理状態を決定していると想定した。意識が関わる前までは,複数の状態が重ね合わされているが,誰かの意識がその物理系を観測すると,波動方程式に示された確率に従って,いずれかの状態に決定するという。
また,エヴェレットは,「観測」はそもそも起きていないとする「可能世界論」によって量子論の整合性を保とうとした。可能世界論では,電子が経路Aに検出されて針が右に振れ猫が死んでいるのを観測する世界と,電子が経路Bに検出されて針が左に振れ猫が生きているのを観測する世界とが,それぞれ別個に存在するとされる。波動方程式により,日常的にほとんど無限個の世界が生成されるのだ。このようにして,観測者は多数の可能世界に複製されるが,その意識は,意識の存在する特別な世界を認識する。つまり,死んだ猫を観測する世界の意識と,生きた猫を観測する世界の意識とが,互いに交流もなくそれぞれ存在するので,我々は常にどちらか一方を認識するという。観測問題は解消されるが,代わりに我々は,可能世界の迷宮へと追い込まれる。
エヴァン・ハリス・ウォーカーは1974年,量子論の観測問題の部分でPSIが起きるとする観測理論を提唱した。彼の観測理論では,現実の重ね合わされた状態に加えて,想像による状態という新たな物理状態が導入される(物理学で言う「隠れた変数」である)。その想像による状態が,いわゆる意識に相当する(つまり意識は特殊な物理状態とされる)。重ね合わされた状態は,意識と関わることで1つの状態に決定されるが,その観測の時点で,意識の想像状態と合致する状態が選ばれるという。これにより,願望や意志(これらは意識の想像状態とされる)に合った物理状態が結果として選択されることとなる。
例えば,サイコロは回転中に6つの目に対応する6つの状態が重ね合わせになるが,意識で特定の目を念じていると,その目の想像状態と合致する状態が現実に選ばれやすくなる,としてPKが説明される。ESPは逆に,コールにつながる想像状態の方が重ね合わせになっており,ターゲットの現実状態が意識と関わる時に,ターゲットに合うコールの想像状態が選ばれやすくなる,と(やや複雑だが)説明される。
この理論では,想像状態という奇妙な物理状態が,何故意識に相当する性格を持ち得るのかを物理的に説明せねばならず,困難を抱える。この理論は,PSIの理論である前に,心身問題の物理的解決に図らずも挑戦してしまった理論であると言える(8-3)。
乱数発生器の実験手法を開発したヘルムート・シュミット(3-5)は1975,1978年,目的論的性格を持つ観測理論を提唱した。この理論では,PSIの源である人間は,時空を越えたPSIを発揮するとして,PSI独自の世界を先に認めてしまう。そして,PSIを評価するとき(コールがどれくらい当たったかを調べるとき)に,高スコアを望む目的に沿って評価者がPSIを発揮し,過去に向かってPKが働くとする。PSIの源となる評価者とは,被験者に実験結果のフィードバックが与えられるときは,被験者自身に相当するが,与えられないときは結果を照合する実験者となる。過去に働くPKは,重ね合わせの状態から1つの状態が決定する,量子論的観測時に,将来の目的に沿った状態が選ばれやすくなることで実現される。
彼が得意とする乱数発生器の例で説明しよう。乱数発生器の出力は「未来」の,良いスコアを残したいという目的に沿って出力が決まる。これは,特定の出力と合致する場合はPKとなり,コールと合致する場合はESPとなるが,基本的に未来からのPKという原理で実現される。この点はDAT(5-4)とは,ちょうど逆の構図であることに留意されたい。DATでは,ターゲットを選ぶときに選ぶ人間の予知で,将来の目的に合致したものが選ばれた。シュミットの理論では,コールを評価するときに評価者のPKで,過去のターゲット選択が目的に合致するように選ばれるのである。
この理論によれば,彼が実験的に掴んだ過去遡及的PK(3-5)も,自動的に説明される。目的指向性を持つので,たとえ複雑な構造を持つ乱数発生器であっても,PSIが困難になることがない。この理論は,量子論と極めて整合的であるが,PSIの源がどのようにPKを時空を超えて発揮するのか,その機構や心理学的影響については,何も語っていない。
この理論はまた,スタンフォードの適応行動理論(5-3)とも似ている。ただし,適応行動理論が因果理論として時間軸に手をつけなかったのに対して,この理論は時間軸を超越してしまった。すなわち,評価の時点に,過去に遡って事態が確率的に決定されるとしている。にもかかわらず,観測とは何かを曖昧にしたまま(上述のように量子論からは導けない)であるから,現在の事態が将来の目的関与によって決められている可能性が大きく入り込み,理論の検証可能性が著しく低いものとなっている。
シュミットは,目的論的観測理論の問題を再考し,1982,1984年に改訂版の観測理論を提唱した。この理論の特徴は,「観測」が具体的に定式化されていることである。まず「意識」を,重ね合わせの状態から状態を確率的に決定する主体である,と操作的に定義する(上述のウィグナーらの立場)。そのうえで,確率的状態決定の過程に,量子論にはない3つの要素を導入している。
第1に,状態決定は,時間とともに徐々になされるという,状態の「部分決定」の概念を導入した。第2に,状態の重ね合わせ度合いは,指数的に減衰(exp[-kt])し,その減衰定数(k)は「意識の覚醒度」に相当するとした。つまり,意識が高まっていると,早く状態決定がなされるが,意識がないゾンビであると(k=0),状態は重ね合わされたままである。第3に,PKの強さに応じて,重ね合わされた状態のうちの所望の状態に高い確率で決定されるような「PK係数」を設けた。状態の部分決定の概念は,量子コンピュータの原理を定式化した理論物理学者,デイヴィッド・ドイッチュも提唱している(『世界の究極理論は存在するか』朝日新聞社)。
これらの改訂により,意識ある人間によって観測された時には,状態が(ある程度の時間をかけて)決定されると明確になったので,将来の目的関与の問題がなくなった。だが,透視の実験が成功するためには,被験者はゾンビ状態になって重ね合わせ状態を維持し,実験者がターゲットとコールを照合するときに過去遡及的PKが働くようにすべきであることも明確になった。これはこれで結構奇妙な事態である。観測理論では,観測の時点にPSIの影響が物理系へと現われるとされるので,こうした奇妙さは宿命とも言えよう。

 

[ 672] 有機理論化学
[引用サイト]  http://www.riken.go.jp/lab-www/manabeiru/0111class.htm

1 これまで立体配座というものについて主に紹介してきたが、ここから話は大きく変わる。とりあえず、特別の場合を除いて、立体配座のことは考えないで話を進めよう。
キラリティーとは何か? キラリティーは名詞、形容詞形がキラル。キラルでないものをアキラルと言う。「重ね合わすことができない」とは、見た目が全く同じ(区別できない)ものではない、ということ。ちなみに英語っぽく発音するときは、「カイラリティー」、「カイラル」、「エイカイラル」。
2 キラルなものの代表として頻繁に取り上げられるのが、「手」だ。右手と左手は、ちょうど鏡に映したような関係になっており、左右が逆なため互いに重ね合わせることができない。図の点線は「鏡の面」をイメージしており、点線に対してちょうど左右対称な関係になっている。
ここから以降は、分子について考える。図の中段に示した分子はキラルである。なぜなら、鏡に映した像(点線をはさんで向かい合っている分子)と重ね合わすことができないからだ。たとえば右の構造式を、そのまま平行移動して、180°くるっと回転させても、左に示した構造式と全く同じものにはならない。楔形結合と破線結合の関係が逆だから。
下段の分子(ベンゼン)はキラルではない。つまりベンゼンはアキラルである。なぜなら、鏡に映した像同士(点線をはさんで向かい合っている2つの分子)を重ね合わすことができるからだ。つまり、鏡に映した像同士は、見かけは全く同じで区別できない。
さて、キラルな分子の、鏡に映った相方のことを表す言葉がある。エナンチオマー(または鏡像異性体、または鏡像体、または光学異性体)と言う。たとえば、中段左側の分子のエナンチオマーは、中段右側の分子である。中段に示した2つの分子は、互いにエナンチオマーの関係にある。エナンチオマーというものは、立体異性体の一種である。立体異性体の大きな集合に含まれる小さな部分集合が、エナンチオマーである。アキラルな分子については、エナンチオマーというものは、ありえない。だから、ベンゼンのエナンチオマーというものは存在しない。
3 では、どういう分子がキラルになりうるのか(別の言い方をすれば、キラリティーを持ちうるのか)? いくつかのタイプがある。その一つ目が、(1)キラル中心を持つ分子、である。キラル中心の代表的なものがキラル炭素(別名、不斉炭素)である。これは、4つの異なる置換基(原子団)が結合しているsp3炭素のことである。たとえばlactic acid(別名、乳酸)という化合物を見てみよう。分子構造を見ると、鏡像と重ね合わすことができないので、これはキラルである。どうしてキラルになるのかといえば、真ん中の炭素原子に4つの異なる置換基(CO2H,CH3,
OH, H)が結合しているからである。そのため、鏡像と重ね合わそうとしても、どうしてもある部分の楔形と破線の関係が逆になってしまう。つまり、lactic
acidはキラル炭素を持つ分子である。一般的に、lactic acidのようにキラル中心(lactic acidの場合はキラル炭素)を持つがゆえに生じるキラリティーのことを中心性不斉と言う。
さて先ほど、エナンチオマーというものは立体異性体の一種である、と書いた。立体異性体とは一般的には(立体配座について考えなければ)、立体配置のみが異なる分子のことである。互いにエナンチオマーの関係にある2つの分子も、立体配置が異なっている。エナンチオマー間で異なっている立体配置のことを、特別に「絶対配置(あるいは絶対立体配置)」と呼ぶ。つまり、互いにエナンチオマーの関係にある2つの分子では、分子の絶対配置のみが異なっている。絶対配置を表現するために考えられた方法がいくつか(主に2つ)ある。そのうち最も良く用いられる表現法(表記法)は、R,S表記法と呼ばれるものである。R,S表記法では、キラル中心を2つに分類し、片方をR、もう一方をSで表現する。化合物名の前に、(R)-あるいは(S)-というような記号をつけることによって、絶対配置を表す。たとえば図に示したlactic
acidも、片方が(R)-lactic acidになっており、もう一方が(S)-lactic acidになっている。エナンチオマーの片方が(R)-ナントカだったら、もう一方のエナンチオマーは必ず(S)-ナントカである。
4 絶対配置を表現するために考えられた方法は主に2つあり、ひとつがR,S表記法で、もうひとつがこれから紹介するD,L表記法である。D,L表記法は現在、ある一部の化合物群に対してのみ使われており、一般性という意味ではR,S表記法に劣る。ただ、ある一部の化合物群においては重要かつ便利であり、また、その化合物群というのが、生体内で重要な役割を果たしている「アミノ酸」と「糖類」であるという事実も、D,L表記法が未だに使われ続けている大きな理由であろう。
D,L表記法では、glyceraldehydeという化合物が基準になっている。glyceraldehydeの2つのエナンチオマーのうち、片方(図の左上の分子)をD-glyceraldehydeと呼び、もう一方(図の右上の分子)をL-glyceraldehydeと呼ぶ。そしてこれを基準とし、他の化合物については、化学的な変換法によってD-glyceraldehydeに誘導(変換)できるものをD-ナントカと呼び、L-glyceraldehydeに誘導(変換)できるものをL-ナントカと呼ぶ。このように、他の様々なキラル化合物についてもD系列の分子なのか、L系列の分子なのかを定義しようというのが、D,L表記法である。(ちなみに、このD,Lは、後に出てくる旋光性に関するdとlとは直接の関係はない。)
以上のようなD,L表記法の定義によって、世の中の全てのキラルな化合物について、D系列の分子なのか、L系列の分子なのかを、判定していくことは可能だろうか? 当然思うことだが、無理だろう。化学的な変換法によってglyceraldehydeに誘導するといっても、その変換法の種類によって、D-glyceraldehydeに変換できたり、あるいは別の方法を使えばL-glyceraldehydeにも誘導できることだってあるだろう。また、分子構造がglyceraldehydeと大きく異なり、化学的な手法でglyceraldehydeに変換できないような分子だってあるだろう。つまり、D,L表記法で、世の中の全てのキラルな化合物を定義することはもともと無理であり、D,L表記法は、一部の化合物について習慣的に使われているのが現状だと思う。糖類とアミノ酸類については、習慣的に使われており、また便利でもあるので、今後も使われていくとは思うが、いずれにしてもD,L表記法というものが、一般性の高いものでないことは確かである。
5 R,S表記法は主に、Cahn、Ingold、Prelogの3人が中心となって考えられた絶対配置の表記法である。この表記法では、各々のキラル中心について、それがR配置なのか、S配置なのかを割り当てていく。その手順としては、(1)キラル中心に結合している4つの置換基に順位をつけていく。順位のつけ方は、ある順位則(後述)に基づく。(2)順位第4位の置換基が向こう側になるような方向から分子を見たときに、残りの置換基(順位第1位から第3位まで)の第1位→第2位→第3位という回り方が、右回りだったらR配置、左回りだったらS配置である、と定義する。
順位のつけ方(Cahn―Ingold―Prelogの順位則)は、4段階から成っている。1段階目で順位が決まらなかったら、2段階目の順位の決め方に移り、以下同様に4段階目までで、順位を決定する。(S)-lactic
acid(プリント3枚目の分子)を例に考えてみよう。まず、キラル炭素に結合している4つの置換基は何かというと、CO2H, CH3,
OH, Hである。この4つに順位をつける。1段階目の順位決定法は、「原子番号」である。キラル炭素に直接結合している原子はそれぞれ、C, C, O, Hである。原子番号が大きいものほど順位が高いという決まりになっている。したがって、最も原子番号が大きいものは酸素(O)なので、置換基OHが順位第1位である(ちなみに、第1位の方が第2位よりも順位が高い)。また、最も原子番号が小さいものは水素(H)であり、Hが順位第4位である。問題は、順位第2位と3位である。両方とも炭素(C)でキラル炭素に結合しているので、この段階では順位を決められない。そこで、順位則の2段階目以降へと移ろう。2段階目は「原子量」である。これは、キラル炭素に直接結合している原子の原子量が大きいものほど順位が高いという意味である。通常は、原子番号が同じならば原子量も同じである場合が多いが、そうでない場合もある。たとえば、水素(H、原子核は陽子からなる)と重水素(D、原子核は陽子と中性子からなる)は、原子番号は同じだが、原子量は異なる。重水素(D)の方が原子量が大きいので、順位も高くなる。lactic
acidの場合は、順位第2位と3位に関しては、原子量も同じなので、順位則の第3段階へと移る。3段階目は「次に結合した原子(の原子番号)」で決める。CO2HとCH3だったら、炭素の次に結合している原子で決める。CO2Hは、炭素の次に結合している原子は酸素(2つある)である。一方、CH3の場合は、炭素の次に結合している原子は水素(3つある)である。酸素と水素を比較すると、酸素の方が原子番号が大きいので、CO2HはCH3よりも順位が高いことになる。よって、lactic
acidの順位第2位はCO2Hであり、順位第3位はCH3である。ちなみに順位則の4段階目の「多重結合は複製原子をつける」とは何かというと、たとえばCO2Hのように、ひとつの酸素が二重結合で炭素と結合している場合、二重結合で結合している原子(この場合酸素)を「2つ」とカウントすることである。したがって、CO2Hの順位を決める際に、炭素の次に結合している原子は酸素であり、その酸素は3つある(2つではなく)と考える。さて、話をlactic
acidに戻すと、4つの置換基の順位が決まった。CO2H(第2位)、CH3(第3位)、OH(第1位)、H(第4位)である。そこで、第4位の水素が向こう側になるような方向から分子を眺めてみると、OH→CO2H→CH3という回り方が左回りである。したがって、このlactic
7 キラルな分子の2つ目のタイプ(一つ目はキラル中心を持つもの)は、キラル軸を持つものである。また、キラル軸を持つことによって生じるキラリティーを「軸性不斉」という。軸性不斉を持つ分子の代表的なものが、ベンゼン環2つが炭素炭素結合を介してつながった「ビフェニル類」と呼ばれる一群の化合物である。ビフェニル類が軸性不斉を持つためには、次の2つの条件を満たす必要がある。(1)ベンゼン環上の置換基の立体障害のため、ベンゼン環同士をつなげている炭素炭素単結合の回転が妨げられており、なおかつ2つのベンゼン環が同一平面状にはない状態になっている。(2)図に示したように、置換基AとBが異なり、なおかつCとDが異なるものである(ここでは置換基は、ベンゼン環同士をつなげている炭素炭素単結合に対してオルト位にあるが、メタ位でもよい)。
8 キラルなビフェニル類の中央の炭素炭素単結合が180o回転すると、元のもののエナンチオマーになってしまう。したがって、ビフェニル類がキラルであるためには、中央の炭素炭素結合の回転が妨げられている必要がある。妨げられる最大の理由は、立体障害によるものである。つまり、ベンゼン環同士をつなげている炭素炭素単結合に対してオルト位にある置換基が、立体的に大きくなればなるほど、中央の炭素炭素結合の回転は妨げられる。置換基が大きくなるにつれて、回転が妨げられる様子を示したのが、ここに示した図である。回転エネルギー障壁とは、回転に必要な活性化エネルギーのことである。
9 キラルなビフェニル類の代表的分子として、binaphtholを図に示した。ナフタレン環の立体的大きさのため、ナフタレン環同士をつなげている炭素炭素単結合の回転が妨げられている。ちなみに、対応するベンゼン環の化合物(右に示したもの)では、立体障害が十分でなく、炭素炭素単結合が容易に回転してしまい、軸性不斉を持つとは言えない。binaphthol類には様々な応用例があり、その例を2つ示した。
さて、ここで、混乱を招く事柄について言っておかなければならない。あるキラルなビフェニル類には、当然一対のエナンチオマーが存在する。2つのエナンチオマーは、互いに絶対(立体)配置が異なる。エナンチオマーとは立体異性体の一種であり、通常は互いに立体配置が異なる。ビフェニル類の場合、中央の炭素炭素単結合が回転することによって絶対配置が逆のものになる、つまり立体配置が異なる分子に変換される。ところが、これまでの定義では、単結合の回転によって分子の形が変わったときには、立体配座(立体配置ではなく)が変わったと言うべきであろう。わかりにくいが、ここに至って、立体配座と立体配置という2つの言葉がごっちゃになってきた。ここまでの「キラリティー」についての話では、立体配座については無視してきた。キラルなビフェニル類の中央の炭素炭素結合の回転によって変化するものは、立体配座なのだろうか、それとも立体配置なのだろうか。結論を先に言うと、どちらとも言えない。一般的に使われている言葉の定義があいまいなのだ。厳密に言えば、キラルなビフェニル類の中央の炭素炭素結合の回転によって変化するものは、立体配座といってよいように思う。しかし習慣として(そして利便性から見ても)、キラルなビフェニル類について立体配置という言葉を使うことは妥当だと思う。定義をあいまいにする別の理由は、「回転が妨げられる」というのが「どの程度なのか」ということに起因する。回転が妨げられている分子(たとえばbinaphthol類)も、非常に過酷な条件下(たとえば高温条件下)では回転が起きてしまう。通常、回転が妨げられているといっているのは、室温近辺では回転が無視できるほどしか起きない、ということを意味している。どの程度までを「無視できるほど」と言えるのか、はっきりした定義もない。とにかく、習慣を考慮し、ここでは以下のように結論づけよう。「室温近辺では回転が無視できるほどしか起きない(A≠BかつC≠Dの)ビフェニル類は、キラルである。」「そのようなビフェニル類については、立体配置という言葉を使ってよい。」
10 軸性不斉を持つ別の種類の分子として、アレン類が挙げられる。二重結合が隣り合って存在しており、二重結合のπ軌道の方向が互いに直交している。
11 キラルな分子としては他に、キラル面を持つものや、らせん構造のものなどがある。ここら辺の厳密な定義は難しい。
13 さて、キラル中心のところでは、キラル中心としてキラル炭素の例のみを挙げた。だが、他の原子でもキラル中心になりうる。たとえばここに示したリン原子を含む化合物では、リン原子がキラル中心となっている。リン原子に結合している置換基4つ(通常の意味での置換基が3つと、非共有電子対1つ)が、すべて異なるものならば、キラルになりうる。ただし、非共有電子対の反転が起こらない、という条件が必要である。非共有電子対の反転が起きてしまうと、対応するエナンチオマーに変換されてしまうからだ。多くのリン化合物では、非共有電子対の反転が室温付近では無視できるほどしか起きないため(またまたあいまいだが)、中心性不斉を生み出すことができる。リン原子の代わりに窒素原子を持つ化合物(アミン類)では、通常、非共有電子対の反転が速いため、キラルとは言わない。
14 キラル中心(あるいはキラル軸)が、ひとつの分子中に複数個ある場合には、エナンチオマーの他に、「ジアステレオマー」という立体異性体が生じうる。ジアステレオマーとは、エナンチオマーではない立体異性体である。
15 エナンチオマー間では「絶対配置」が異なる。一方、ジアステレオマー間では「相対配置」が異なる。エピマーという言葉の定義も載せておく。
16 この化合物には、キラル中心が1個と、キラル軸が1個ある。つまりキラル要素があわせて2個あり、「ジアステレオマー」が存在する。

 

[ 673] 実践事例WEB 詳細
[引用サイト]  http://ezuko.higo.ed.jp/kyouzai/shidouan/detail.jsp?kyouka1=&kyouka2=&kyouka3=&kyouka4=&gakunen1=&gakunen2=&gakunen3=&gakunen4=&area_id=&name_in=&s_id=193&page=9

2つの波が出会うと、どのような現象が起こるだろうか。2つの物体が衝突する時と、どのように違うだろうか。そのような「波の独立性」と「重ね合わせの原理」を理解するために、生徒がインターネット上でJavaScriptでプログラムされたシュミレーションを実行する。
波動特有の性質である、「波の独立性」「重ね合わせの原理」を現象及びシュミレーションを通して理解させる。
2つの波が衝突し、すれ違う。それは2つの物体の衝突とは全く異なった現象である。実際に観察したその現象を「波の独立性」及び「重ね合わせの原理」を用いて解説し理解させる。
実際に観測できる波形は衝突した2つの波の合成波である。そこで、JavaScriptでプログラムされたシュミレーションを生徒自身がパソコン上で体験する。そこで、生徒自身は合成波のみならず、実際の現象では表れないその元となる2つの波も観察できる。また、プログラムなので再生、巻き戻し、静止、コマ送りなどが自分の納得いくまで何度でも実行できるという点も魅力である。
2.WAVEマシーンは演示する前に発問をし、動機付けをする。また、物体と波動の衝突の違いについては強調しておく。
(科学的な思考)(関心・意欲・態度)WAVEマシーンの現象に興味を持ち、波の重ね合わせの規則性に気付くことができるか。
4.そのホームページより「定常波」および「波の反射(正弦波)」のジャバアプレットを各自操作し、シュミレーションを体験する。
4.シュミレーションは各自させるが、その際、1度だけではなくパラメータなどを変化させて、何度か繰り返すよう指導する。
(知識・理解)(科学的な思考)『波の独立性』『重ね合わせの原理』を理解し、そこから、WAVEマシーンの現象を説明できたか。
(技能・表現)(関心・意欲・態度)JavaScriptでプログラムされたシュミレーションを使いこなせるか。また、このようなシュミレーションに興味・関心を持てたか。
昨年度よりこういった形でパソコンを授業に取り入れている。成果としては、実際の現象では理解しづらい点を今回のようなシュミレーションプログラムが補ってくれている。例えば、今回の例では実際には重なっている元の波形も描いてあり、視覚的に重ね合わせの原理について理解できる。その他にも、波の速度などのパラメーターの変化や静止画、コマ送り、巻き戻しなどが出来るのも魅力的である。
生徒の反応も概ね良好で、従来の演示実験のみやもしくは講義のみの形式に比べると「関心・意欲・態度」「知識・理解」の観点ではそれなりの手ごたえを感じた。実際、演習の終った生徒は、本時の単元以外のシュミレーションなどもゲーム感覚で楽しみながらやっていた。
実際に、生徒たちにインターネットで検索をさせたり、シュミレーションをさせたりした場合、個々のパソコンに関する技能の差が出てしまう。また、このような取り組みと教科書を始めとするその他の教材との関連付けも不十分に思える。補助教材としてのプリントの改訂などに取り組んでいきたい。
また、現在はこのような取り組みはパソコンが最も得意とする『波動』の単元に限って行ってきたが、今後は『力学』『電磁気』など他の単元への活用も検討している。さらに、シュミレーション以外のIT関連としてはデジタルビデオによる実験映像に編集加工を施してデジタル教材として活用できないか、また、データの処理及びグラフの作成としてExcelの導入も考えている。
今回は、CAD室というLANも整備された環境で生徒自身にパソコンを操作させたが、私の授業の多くはノートパソコンを視聴覚室のプロジェクターに繋ぎ、私が操作したものを生徒がスクリーンを通して観る形で実施している。また、この形式の授業は使うシュミレーションに対応したプリントを補助教材として作成しておくと、教科書との対応関係もはっきりするのではないかと感じている。
「MathematicaとJavaを用いた物理シミュレーション教材の作成とそれらのインターネットWWW上での公開」
「MathematicaとJavaを用いた物理シミュレーション教材の作成とそれらのインターネットWWW上での公開」
今回の取り組みはあくまでシュミレーションであるということは常に念頭においた。実際に、五感で体験できるものはやはり実験で示したい。実験では理解しづらいもの、実験しづらいものといった補助として私は位置付けている。そうしないと、生徒たちは理論上の、いわゆる誤差の無い世界と現実の現象の世界との違いに不信感を抱くように思える。

 

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